部位・症状別の基礎知識
交通事故によって身体やその動きに将来においても回復が困難と見込まれる障害が残ったため、労働能力や日常生活に支障があると認められる場合には、後遺障害ということになります。後遺障害として認定されれば、後遺障害による損害について賠償が受けられます。
後遺障害の等級とは
後遺障害の等級は、程度に応じていちばん重い1級から14級までに分けられており、それぞれの等級に認定されるための条件が定められています。
後遺障害の種類
後遺障害の種類としては、以下のようなものがあります。
遷延性意識障害
いわゆる植物状態のことで、交通事故の後遺障害の中でも最も重篤な状態です。重度の昏睡状態のため、言葉を話すことも、身体を動かすこともできません。
高次脳機能障害
脳が損傷を受けたことにより、記憶障害、注意傷害、遂行機能障害、認知障害等が起こった状態です。物事をすぐに忘れてしまったり、感情のコントロールができなくなったりします。
脊髄損傷
脊柱管内にある中枢神経である脊髄の損傷による障害です。運動機能喪失、感覚消失、手足の麻痺等が起こります。
RSD(反射性交感神経性ジストロフィ)
外傷により交感神経が損傷した結果発症するものです。外傷が治癒した後も慢性的な痛みや痺れを感じます。
むち打ち
診断名では頸椎捻挫、頸部挫傷、外傷性頸部症候群とされているもので、交通事故で最も多い症状になります。過去にはレントゲンでも発見しにくいとされていましたが、現在はMRIやCT等で特定できる場合が多くなりました。
後遺障害の系列
後遺障害の等級認定基準では、まず身体を部位別に10種類に分類し、各部位をさらに機能ごとに分類して全部で35の系列に分けています。
部位 | 器質的障害 | 機能的障害 | 系列 | |
---|---|---|---|---|
眼 | 眼球(両眼) | 視力障害 | 1 | |
調節機能障害 | 2 | |||
運動障害 | 3 | |||
視野障害 | 4 | |||
まぶた(右) | 欠損障害 | 運動障害 | 5 | |
まぶた(左) | 欠損障害 | 運動障害 | 6 | |
耳 | 内耳等(両耳) | 聴力障害 | 7 | |
耳介(右) | 欠損障害 | 8 | ||
耳介(左) | 欠損障害 | 9 | ||
鼻 | 欠損及び機能障害 | 10 | ||
口 | そしゃく及び言語機能障害 | 11 | ||
歯牙障害 | 12 | |||
神経系統の機能 又は精神 |
神経系統の機能又は精神の障害 | 13 | ||
頭部、顔面、頸部 | 醜状障害 | 14 | ||
胸腹部臓器 (外生殖器を含む) |
胸腹部臓器の障害 | 15 | ||
体幹 | 脊柱 | 変形障害 | 運動障害 | 16 |
その他の 体幹骨 |
変形障害(鎖骨、胸骨、ろく骨、肩こう骨又は骨盤骨) | 17 | ||
上肢 | 上肢(右) | 欠損障害 | 機能障害 | 18 |
変形障害(上腕骨又は前腕骨) | 19 | |||
醜状障害 | 20 | |||
上腕(左) | 欠損障害 | 機能障害 | 21 | |
変形障害(上腕骨又は前腕骨) | 22 | |||
醜状障害 | 23 | |||
手指(右) | 欠損障害 | 機能障害 | 24 | |
手指(左) | 欠損障害 | 機能障害 | 25 | |
下肢 | 下肢(右) | 欠損障害 | 機能障害 | 26 |
変形障害(大腿骨又は下腿骨) | 27 | |||
短縮障害 | 28 | |||
醜状障害 | 29 | |||
下肢(左) | 欠損障害 | 機能障害 | 30 | |
変形障害(大腿骨又は下腿骨) | 31 | |||
短縮障害 | 32 | |||
醜状障害 | 33 | |||
足指(右) | 欠損障害 | 機能障害 | 34 | |
足指(左) | 欠損障害 | 機能障害 | 35 |